秩父の唄 機織り唄

 著者が十五年間にわたって心血をそそいで収集した数々の唄の中から、秩父の唄を更に精選して収録したその数八五〇に及ぶ。民俗資料として1975年に発行されて久しい。
 埼玉県西部に位置する山岳地帯の秩父地方には古くから独特の風習が今に伝えられ、特に方言や言葉は群馬県の一部と秩父地方でしか聞かれないアクセントがある。鼻濁音のない発音からはきつい表現となって聞こえる様であるが、地元住民はいたって涼しい顔。「おらがほうが、いちばんひょうじん語に近い言葉」と思い込んでいる人が滅法多い。
 こうした中にあって、秩父地方に残っている様々の唄からは、又特別な生活背景が見えて来る。この秩父の唄の採集当時、既に消滅したものもあって今では尚更である。
 今でも民謡の世界などからは一級の資料として珍重されており、主な内容では、有名な秩父音頭をはじめ、仕事の唄、まつりと芸能の唄、子供の遊び唄、秩父事件の唄等がある。

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